今回は発達障害児とのコミュニケーション方法になります。具体的なコミュニケーション方法を取り入れていく前に、まずはお互いに信頼関係が築けていることや子どもに好いてもらっていることが大前提となりますので、その上でぜひ活用してみてください。
①曖昧な表現をしない
曖昧な言葉とはどのようなものがあるでしょうか?
例えば
人を表す言葉(あなた、お姉さん、友達、きみ)
感情や雰囲気を表す言葉(楽しい、悲しい、嬉しい)
時間、距離、空間を表す言葉(朝、夜、さっき、後で、ここ、あそこ、すぐ近く)
比喩表現(冷たい人、口が硬い、まっすぐ帰る)
意思が曖昧な言葉(いい子にしててね、ちゃんとしなさい)
間接的な言葉、相手の視点に立つ言葉(なんでこんなことをするの?お兄さんなのに恥ずかしい、周りの人の迷惑でしょ)
②目的や役割などを明確に決める
場所が変わると行動できない子には「ご飯を食べる部屋、寝る部屋」など部屋の目的も分かるように紙に絵や文字を書いてドアに貼っておく。1度決めたらころころ変えないことがポイントです。
③一連の流れを見せる
今何をすべきか分からなくなる、1つのことをいつまでもする、いつもの予定と違うと混乱する子などには、一連の流れを事前に文字や絵で見せてあげることで安心し、集中することができる。その場合どんな活動をするのか、どのくらいの時間や量の活動なのか、いつ終わるのか、終わった後は何をするのかまで明確に伝える。例えば朝のルーティーンや夜のルーティーンなどもお子様と一緒に決めて絵や文字で記してあげるとスムーズになります(例:朝7時に起きて、挨拶をして歯磨きをしてから着替えるなど)
④絵カードを使う
気持ちを伝えるのが苦手な子には、絵カードを使うことができる。絵カードを提示して、その中から選んでもらう。もしくは伝えたいことをこちらが絵カードで提示することもできる。
⑤適切な表現を学ぶトレーニングをする
人とのコミュニケーションが円滑にできるように実際のシチュエーションを再現しながら適切な表現を学ぶトレーニングをする。「お手本を見せて、子どもが実践する」という流れを10回繰り返す。お手本を通して間違いに気がついてもらうので誤りの指摘はしない
例:挨拶をする、返事をする、相手の話をきく、表情と感情の結びつけ(表情が描かれたカードと感情が書かれたカードを使う)
⑥目を合わせる練習
目線が合わない子には、子どもが興味のあるものを手に持ち支援者の目の横に持っていく。そうすることで自然と目を合わせることができる。にらめっこをしてみるのも◎それでも合わせられない場合は子どもが好きなものやキャラクターなどのお面を作ってお面を通して目を合わせる練習をする
⑦音楽療法
音楽で表現をしたり、心を鎮める、感性を豊かにする。
⑧ピグマリオン効果
相手に期待をかけることで伸びていく。伸ばしたい方向へ導いて伸ばす
〇〇ちゃんって本当に優しいね→繰り返し伝える→子どもが思い込み、それに伴った行動を取る
⑨PREP法
結論から最初に話すことで相手に伝えやすく話せるようになる方法。会話にまとまりがない子に頭の中で整理して伝えることができるようになる。
Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)の順番で話す。
➉ABA(応用行動分析)
観察を通して、良いことや悪いことの行動のきっかけになったことやその結果に注目し子どもの心を理解していきます。その子の悪い行動を軽減し、良い行いを伸ばしてあげられる方法。怒らずに行動を変えられるメリットがあり、大人も子どもにイライラしづらくなる。
良い例:大人から「お手伝いしてほしい」と言われる(きっかけ)→お手伝いをする(行動)→「ありがとう」と言われる(結果)ことでもっとやろうと思うようになっていく。
悪い例:「お友達のおもちゃが欲しい(きっかけ)」→奪い取る(行動)→「自分のものになる(結果)」ことで今後も奪い取れば良いと思ってしまう
子どもが問題行動を起こす理由として4つの原因があると言われております。1つめは欲求(〇〇が欲しい!○○したいという気持ち。手に入れる為に叩いたり奪い取るなどする)2つめは回避(○○したくない・されたくないから嘘をついたり、逃げたりする)3つめは注目(構ってほしいから物を投げてみるなど)4つめは感覚刺激(気が紛れる、なんだか楽しいといった理由で爪を噛む、貧乏ゆすりや髪をむしるなど)
良い行動を増やしたい時は褒められたり、何か得られたり、楽しいことがあると強化され、もっとやろうと思うようになりますし、悪い行動を減らすにはきっかけを取り除く(おもちゃを複数用意する、別の部屋で遊ぶ、貸してと言う)もしくは無視をする(反応してしまうと悪い行動を強めてしまう)という方法も取ります。
そして基本的には叱って強制するのではなく上手に導いていくこと、自己肯定感を伸ばす声かけや、否定系ではなく肯定的に伝えること、質問をしながら考えるきっかけを与えたり、手助けしすぎないことなども接していく上で意識していきたい大切なポイントです。